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みなさん、こんにちは。
ようこそ、細胞の世界へ!
「細胞アートクルーズ」は、
日本臨床細胞学会の公益社団法人化10周年を
記念したプロジェクトです。
細胞診は病気の早期発見や治療に欠かせないものですが、
専門医や検査士の役割はあまり知られていません。
ぜひ、細胞のこと、細胞診のことを
みなさんに知っていただきたいと思い、
この細胞アートクルーズを企画いたしました。
みなさんの日々の生活や学習にお役に立つことができれば幸いです。
ミクロのクルーズ船に乗って、細胞の世界をご堪能ください。

それでは、いってらっしゃい!

主催:公益財団法人日本臨床細胞学会

細胞って何?

About

カブトムシであろうと、ペンギンであろうと、ウシであろうと、
あらゆる生物は、すべて「細胞」からできています。
人間もおんなじです。
人間のからだは、37兆個ほどの細胞でできていて、
細胞には、200ほどの種類があるといわれています。
細胞は、臓器によって形もはたらきもそれぞれ異なっています。

細胞は、
何でできているの?

細胞は「核」と「細胞質」でできている

たったひとつの受精卵は、お母さんの子宮の中で、それぞれの臓器の形やはたらきを担うことのできるような細胞に変身していきますが、多くの細胞に共通する特徴は、「核(かく)」と「細胞質(さいぼうしつ)」を持っていることです。
核の中には「核小体(かくしょうたい)」という特別な機能を有する部分があり、成長期の細胞や活発に動いている細胞では大きく目立つのが特徴です。

「核」って何?「細胞質」って何?

核には、お父さんとお母さんから半分ずつもらった遺伝情報がしまわれています。遺伝の情報が正しくないと、細胞はそれぞれの臓器で自分の役割を発揮できませんし、勝手に増えすぎてしまったり、逆に死んでしまったりすることになってしまいます。細胞ひとつひとつにとって、核というのは生きていくうえで大切な情報がしまわれているのです。

一方、細胞質にも、細胞が活動していくために必要な「細胞小器官(さいぼうしょうきかん)」と呼ばれる様々な“部品”が含まれています。細胞が活動する上でのエネルギーをつくったり、余分な物質を捨てたりする機能をもつ細胞小器官がいろいろつまっているのがこの細胞質なのです。

細胞の大きさは、
どれくらい?

細胞の大きさは実にまちまちです。神経と筋肉と胃や大腸の粘膜を覆っている細胞では、大きさが異なりますし、同じ筋肉の細胞でも場所によって大きさが変わります。多くの細胞は、20μm前後、1μmは1mmの1000分の1ですから、観察するには顕微鏡が必要ですね。

細胞は、どんな
形をしているの?

細胞は、大きさもまちまちなら、形もさまざまです。 細胞は、「核」と「細胞質」でつくられていますが、核の形もまんまるいものから、楕円形のものなどいろいろですし、細胞質もまるいものから細長いものまであります。

また、細胞質に占める核の割合も異なります。細胞のほとんどがでっかい核で占められているものもあれば、細胞質の中に点のようなちいさい核がちょこんといるだけの細胞もあります。

細胞は、どんな
はたらきをしているの?

細胞は、200くらいの種類がありますが、その臓器がきちんと働くように細胞たちもそれぞれの役割を発揮します。その役割は細胞によってさまざまなので、ここで全部を説明することはできませんが、大事なことは、細胞同士が協力しあうことです。

たとえば、みなさんが走っているときは、体中の筋肉の細胞たちがそれぞれのタイミングで一斉に収縮したりゆるんだりする必要があります。走っていると酸素がすぐに足りなくなりますから、血管の細胞たちもそれに応じて酸素がたくさん届くように動きます。みなさんがご飯を食べているときは、胃や大腸にある様々な種類の細胞たちが、消化酵素を出したり、食べ物をおしりの方へと移動させるよう動いたりしています。

病気になると細胞は、
どんなふうに変わるの?

細胞が死んでしまうとどうなるの?

細胞は、酸素や栄養が足りなかったり、病原体に感染したりすると、死んでしまいます。 死にかけている細胞は、核と細胞質の形がくずれています。核が大きくふくれたり、逆に小さくなってしまったりする様子は、顕微鏡で観察することもできます。

細胞は、いつもどこかで死んでいる?

実は、細胞は、健康な状態でも死んでいます。 私たちのからだをつくっている細胞は、ずーっと同じ細胞のままではありません。胃や大腸の粘膜を覆う細胞は、数日で新しい細胞にいれかわります。つねに古い細胞が死んで、新しい細胞が生まれていて、細胞が増えすぎたり、減りすぎたりしないように調整されているのです。1か月前の私たちと、今の私たちとでは、全身をつくっている細胞はほとんど入れかわっているんですよ。

がん細胞はどんな状態になっているの?

勝手にどんどん増えていく

がん細胞は、勝手に増える性質を持っています。どんどん増えてしまうため、まわりの正常な細胞の居場所をうばったり、壊したりします。

食いしん坊でおバカさん

また、がん細胞は増えるばっかりで、自分がやるべきはたらきを忘れてしまっています。さらに困るのは食いしん坊なこと。正常な細胞より酸素や栄養をいっぱいほしがります。 そのため、がん細胞が増えてしまうと、その臓器自体がうまく働かなくなってしまいます。

気ままに出かけてしまう

さらに、自分の居場所から、血流にのって、別の臓器に飛んでいってしまい、たどり着いた場所で増えてしまうこともやっかいです。 これを「転移」といいます。 こういったがん細胞の乱暴なふるまいによって、健康な時に保たれていたからだの機能が壊されてしまうのががんという病気の怖いところです。

がん細胞は顔つきが悪い?

乱暴なふるまいをするがん細胞の形は、どんなふうに変化するのでしょうか。これもがん細胞によって実にさまざまに変わります。
多くは、全体に大きくなり、特に核が大きくなったり、いびつな形をしたり、核の中身がごつごつしたりしていきます。時には、核が2個や3個に増えたりすることもあります。正常に比べて、だいぶ形が変わり、乱暴なふるまいだけではなく、見た目にも悪くなります。がん細胞の「顔つき」は悪いのです。

細胞診って何?

Cytology

患者さんからいただいた細胞や組織の形を肉眼で観察したり、顕微鏡で観察したりして、
どんな病気か検査することを「病理検査」とよびます。
「細胞診」はその中でも「細胞」の形を顕微鏡で観察する検査のことをいいます。

病理検査によってくだされる「病理診断」は、病気になった細胞や組織を直接観察してくだされるため、「病気の最終診断」となります。 特にがんの診断には、病理診断が必ず必要になります。
確実にがんであると確認しなければ、手術や抗がん剤の治療など、 負担の大きい治療に進むことができないからです。

どんなふうに細胞を
検査するの?

患者さんからいただいた細胞はそのままでは無色透明だったり、互いに重なりあっていたりして観察することができません。そこで、細胞をうす~く、スライドガラス上に塗り、さらに色をつけることで観察することが可能になります。
「細胞診」は、染色されたスライドガラスに乗っている細胞すべてを観察し、どんな病気が考えられるのかを検査します。

どんな細胞を検査するの?

どんな細胞も観察することが可能ですが、そのためにはスライドガラスに細胞をうすく広げる必要があります。細胞を採取する方法には以下のような方法があります。

綿棒などでこすって採取してくる方法

口の中や、子宮の入り口など、粘膜の病気を調べるには、綿棒などでこすって細胞を採取します。

病気の部分に針を刺して吸ってくる方法

甲状腺や乳房にしこりができて、がんなのかそうでないのか調べる場合は、皮膚のうえから、しこりに針を刺し、細胞を吸ってくる方法をとります。

液体中に浮遊した細胞を集めてくる方法

尿や胸水や腹水などの液体の場合は、液体に含まれている細胞を遠心分離機で集めて検査します。

細胞がたくさん含まれたかたまり(組織)をつぶす方法

病気の一部がかたまりで採取できた場合、やわらかければ、スライドガラス同士でつぶして細胞が重ならないように押し広げ、検査します。

細胞にどうやって
色をつけるの?

スライドガラス標本にうすく広げた細胞は、そのままでは無色透明で観察することができません。そのため、色をつけることが必要です。

細胞の染色の方法はいくつかあり、代表的なものはパパニコロウ染色、ギムザ染色、PAS反応といった染色法があります。細胞の種類や疑う病気によって、どの染色方法で染めるか決めますが、このなかでも代表的な染色法が、「パパニコロウ染色」です。

パパニコロウ染色の方法

細胞が染色している間にダメになってしまわないように、まずはアルコールにひたします。
最終的にカバーガラスをつけて観察できるような形にするまで、15段階ほどの工程があります。
細胞の核と細胞質は、それぞれ別の色素を使って色をつけます。
核は、ヘマトキシリン、細胞質は、オレンジG、エオシンY、ライトグリーンSFの3つの色素によって染め分けます。

細胞診はだれが
やっているの?

細胞診は、細胞検査士の資格を持っている臨床検査技師と細胞診専門医の資格を持っている医師で行われます。

細胞検査士

細胞診を専門とする臨床検査技師を「細胞検査士」といいます。一定の訓練を受けて試験に合格しなければなれません。 細胞検査士は、最初にスライドガラスをくまなく観察し、細胞の形態を確認していく役割を担っています。 異常だと思った細胞はチェックし、その変化を文章にして記載し、どんな病気が疑われるかを推定します。 細胞診専門医と力を合わせて細胞診を行っているのが細胞検査士です。

細胞診専門医

細胞診は専門性が高く、医師だからといって誰でも行えるものではありません。一定の訓練を受けて試験に合格した細胞診専門医が、細胞診を行っています。
また、「診断」という行為は、医師法で、医師のみしか許されていませんので、細胞検査士と協力して検査を行いますが、診断の最終的な責任は細胞診専門医が引き受けます。

細胞診専門医は、主に、病理検査全般を専門としている「病理医」であることが多いですが、子宮や卵巣など婦人科領域を専門としている「産婦人科医」や肺や気管支など呼吸器の疾患を専門としている「呼吸器内科医」や「呼吸器外科医」など、病理医以外の専門医が、臓器に特化して、細胞診専門医として活躍している場合もあります。

精度管理マネージャー

「細胞検査士」もしくは「細胞診専門医」が一定の訓練を受けて取得する資格。細胞診が多く用いられる子宮頸がんの検診(無症状の人に対し、隠れた子宮頸がんや、その前段階の病気を見つけるために行う検査のこと)の精度を保つための役割を果たします。
子宮頸がん検診の仕組みや流れをよく理解し、検体採取など患者さんと関わる現場おいては指導を行い、検査室においては医師と細胞検査士との連携を促し、正確な診断がなされるように尽力します。

細胞診はなぜ大切なの?

患者さんの負担が少ない

細胞診は、最初に病気をチェックするうえではとても有効な方法です。特に粘膜をこすったり、尿を採取したりして行う細胞診は、検査を受ける患者さんの負担も軽いものですから、何度も繰り返して行うこともできます。

病理検査には、もうひとつ組織診がありますが、こちらは病気の部分を「かたまり」としてとってくる必要があり、患者さんにとっては負担の重いものも少なくありません。

尿や胸水、腹水など、組織診ができない液体のものも検査できる

組織診は、病気の部分をかたまりでとってきて、それをパラフィンで硬くかためたものを薄くスライスして観察する方法をとります。そのため、液体の検体は組織診を行うことができません。一方、細胞診は、スライドガラスに直接細胞をくっつけて検査をしますから、液体の中から細胞をしっかり集めることができれば検査が可能になります。

気軽に行うことができて、かつ、液体などの検体でも検査ができるという点は、病気を早期に発見できるという意味でとても重要です。

ごあいさつ

Message

みなさま、公益社団法人日本臨床細胞学会理事長の岡本愛光です。

日本臨床細胞学会の公益社団法人化10周年を記念して、より多くの皆様にその活動を知ってもらいたいと考え、 「細胞アートクルーズ」を企画しました。

この学会は、細胞学に着目し、臨床と研究を行ってきた学会です。全身、特に癌の、細胞診断を取り扱っています。 細胞診断は検診を通して、病気の早期発見や治療を行うことで、国民の健康を守っています。こうした活動を行っている専門家に細胞診専門(指導)医と細胞検査士という資格があります。 専門家たちが日々学び続けることによって、日本の細胞診断は、世界でもトップレベルの診断制度を誇っています。

細胞の世界は、みなさんの日常の生活ではかかわることがないかもしれません。しかし、顕微鏡を用いて細胞を観察すると、その美しさや、病気の怖さを直感的に理解できると思います。

ぜひこの企画で体感していただければと思います。

公益社団法人日本臨床細胞学会理事長
岡本愛光

ワークショップ

Workshop

細胞アートクルーズを顕微鏡を使って体験できるワークショップの開催が決定しました! 自分のお口の中の細胞をとって、観察してみましょう。

大阪開催

日程:2024年6月9日(日)
場所:大阪国際会議場
※日本臨床細胞学会の大会中に特設ブースを展示します。

東京開催

日程:2024年8月4日(日)
場所:東京慈恵医科大学

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2024.04.09

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